まろやかインド哲学

専門性よりも親しみやすさを優先し、インド思想をまろやかな日本語で分解演習します。座学クラスの演習共有のほか、インド六派哲学のサーンキヤとヨーガの教典についてコメントしながら綴ります。

暗示になるから言わない

これは座学ではなくヨガクラスであったこと。直近数回の練習の動きで少し気になる左右差が見えた人に 「右の足首、ケガかなんかしてます?」 とたずねたら、とくにケガではなかったようなのですが「前から気づいていたのですか」と言われました。気になって…

講座のおしらせ「現代小説読書会『すべて真夜中の恋人たち』をインド哲学視点で読む会」(神戸開催)

これまで小説を使った読書会では夏目漱石の「坊つちゃん」「虞美人草」「三四郎」「それから」「坑夫」「こころ」で読書会を開催してきましたが、今回は川上未映子さんの現代小説「すべて真夜中の恋人たち」で開催します。 この作品は恋愛小説という扱いにな…

ill-willの感情が論外視されがちである、という認識

夏目漱石の小説を題材に、インド思想の心理学視点で「心」を掘り下げていく時間でお話したこと。ここでは過去にインド人のヨガの先生から過去に聞いた話を含めて書き起こします。この話をしたのは、「坊つちゃん」という小説に登場する主人公のさまざまな「…

「光り輝く」にもいろいろありまして

これは、たまに背景の思想も含めながら説明をする拡大版・ハタヨーガのクラスで話したこと。その内容に、解説を加えて書きます。その日は呼吸法のカパーラ・バーティをやりました。この「バーティ」には光り輝くという意味がありますが、あまり端的に話して…

訳のトーンの差を見る。バガヴァッド・ギーター9章23節の「avidhi purvakam」

バガヴァッド・ギーターを読む会の関西開催で話した、ギーターの日本語訳のおもしろさについて。 ギーターをいろいろな訳で読んでいると、こういうのは訳しにくいのだろうなと思うところがいくつもあります。9章23節の最後「avidhi purvakam」の部分は、学者…

ビンゴでギーター 18章47節

この節は神戸で3名、東京で1名のかたが気になった節として選んでいます。前半が3章35節とまったく同じなので、こちらを選んでいる時点で、決め手としては「天性によって定められた義務」「罪の意識」のあたりにおのずとフォーカスがあたります。4名のうち3名…

ビンゴでギーター 3章8節

この3章8節は神戸と東京でビンゴしました。それぞれわりと長くヨガを練習しているかたですが、こんな理由をお話してくれました。神戸参加のかたは上村勝彦訳、東京参加のかたは スワミ・ヴィラジェシュワラ著/岡太直 訳 を読んでのコメントです。 ここ数年意…

ギーターの暗唱のようなことが起きた

バガヴァッド・ギーターを読む会の関西開催で、こんなことがありました。 参加者の感想のなかに、クリシュナがまるで「ジャイアン・リサイタルのようだ」「なんでこんなにパーティー・ピーポーっぽいのか」という率直なコメントがあり、わたしもそんなことを…

ビンゴでギーター 2章47節

(※2016年に東京で選定者が増えたため加筆しアップデートしました) この2章47節は京都で1名、神戸で2名、東京で6名の選定者があったほか、共感する人の多い節です。選んだきっかけとして、こんな理由をお話してくれました。 いま非正規雇用で働いています。…

ビンゴでギーター 2章62節と63節

(※2016年に東京で選定者が増えたため加筆しアップデートしました)この節は関西で2名、関東で5名のかたが選定されました。理由をお聞きすると、怒りから破壊へのプロセスの説明がわかりやすいということでした。それぞれ以下のようなコメントでした。 ギー…

サイコロジカルのヨガ、サイコフィジカルのヨガ

シャルマ先生はまだ若いので(わたしより若い)、講義はいつも事例が現代的。モンキー・マインドの説明に「まだ手持ちのものが使えるのに、新しいiPhoneが欲しい人」が出てきたり、有名な聖者が世界でどんなふうに支持されているかにもアンテナが張られてい…

サドゥーとストレス

インドのリシケシという場所には、たくさんのサドゥーと呼ばれる人がいます。だいたいはオレンジ色の服を着て、アシュラム周辺やガンジス川の河川敷で生活をしています。はじめは「こんな生活をする人が実際にいるなんて」とインドのそれらしさに刺激を受け…

集中したアーサナの練習1回で、ギーターを1冊読んだような心身読了感

アーサナを何年も継続してからギーターを読むようになった人が、読書会で感官の制御に関する節を選ぶケースが増えてきました。わたしはヨーガはその哲学に入る前にアーサナのクラスを経てから参加いただくのがよいと思っていて、アーサナのクラスはもちろん…

仏教とヨーガの共通点

シャルマ先生はいつも「違い」よりも「共通点」で語ること心がけているようで、仏教とヨーガの共通点についてもぽつりと話されたことがありました。 いずれも belief ではなく、way of life たった一行なのに、響きます。 この話は「宗教って、何ですか? 主…

ビンゴでギーター 2章32節

この節は関東で1名、関西で1名のかたが選定されました。選択理由をお聞きすると、お二人ともクリシュナ強い鼓舞のメッセージに少し違和感を感じつつの選択でした。理由は、それぞれ以下のようなコメントでした。 関東でこの節を選んだかたの、訳とコメントは…

ビンゴでギーター 12章5節

この12章5節は東京で2名のかたが選定されました。顕現(vyakta)と非顕現(avyakta)について説いている節です。 だが、非顕現なものに専念した人々の労苦はより多大である。というのは、非顕現な帰結は、肉体を有する人々によっては到達され難いから。(上…

ライチをはじめて食べたときのこと

バガヴァッド・ギーターに出てくる smrti(記憶)に karma-indriya(行為器官)、jnana-indriya(知覚器官)と直接経験、推論を組み合わせた事例として、こんな話をしました。以下、口語調で書きます。 わたしはインドの書物にある記憶や五感・知覚・経験に…

きゃりーぱみゅぱみゅ

バガヴァッド・ギーターやヨーガ・スートラに出てくる smrti という「記憶」に関する話題のなかで、こんな話をしました。 「かわいい」にもいろんなかわいいがあります。ピンクや赤のようなものや、まぁるいもの、ラブリィ、プリティ、ちっちゃなタイニィ… …

さまざまな Law of nature

「ダルマ」が主題の講義のときに、シャルマ先生がさらっと雑談しながらリストした「自然法則」の例は、いかにもインド。 ガンガー(ガンジス川)には汚いものも流れてる。バラナシへ行ったら全てが合流して、もうぐちゃぐちゃだよね。それがダルマ。 わたし…

ビンゴでギーター 3章35節

※2016年4月に関東で選定者が増えたため、加筆しアップデートしました。 この節は関西で2名、関東3名のかたが選んでいました。前半は18章47節と同じですが、カーストのない日本人にはこの3章35節のほうが沁みやすいようです。 18章47節の後半は「本性により定…

マインドレスのマシーン状態

カパーラ・バーティの説明でシャルマ先生が話していたことのメモに、こんなフレーズがありました。 mindlessの、マシーンのようなやりかたでは影響が少ない。 影響というのは、この呼吸法はカパーラがバーティする。頭蓋骨がピカーッと輝く。クリヤ。浄化。 …

行為と知識。感じているときがチャンス

シャルマ先生の講義ノートに、こんなメモがあり、ここは見るたびに「!」となります。 knowledge - feeling - action | chance action は knowledge を兼ねるけど、その逆はない。100のことは同時に起こる。 「言うのは簡単」というだけでなく「知ってる、と…

男は九つの門、女は十の門。ヨーガは長らく、男性たちのものだった

ヨーガでは感覚を統制することを教えるので、わたしはアーサナのクラスでもたまに、感官=門の説明をします。 ヨーガでは肉体を「九つの門のある城」のように表現します。門というのは、感覚の発生するきっかけを作る穴。眼×2、耳×2、鼻×2、口、尿道、お尻の…

呼吸が変わると心が変わる

インドで毎朝プラーナーヤーマの実践、午後に理論や哲学を教わっていたときのこと。午後の哲学の授業の時間に、シャルマ先生による 「プラナヤマの練習で大切なことはなに?」「What is yoga, what is not yoga?」 という問いかけからクラスが始まったことが…

夏目漱石の小説をインド哲学講座の題材にしている理由

2015年の夏の関西開催で、夏目漱石作品をもともといくつか読んでいて初参加をされたかたから「なんで夏目漱石なんですか?」というシンプルな質問をいただきました。 そこで作成したテキストに補足を加え、主な理由をいくつか紹介します。 二元論を超えよう…

1分の静寂。コントロールとクリーニング

わたしのヨガクラスでもよくやる「1分間サイレンス」の話。インドで授業のはじまり、合間に、先生が Silence と言ったら、すぐ1分間の静寂をつくり、黙想する。すべての先生がやっていたわけではないのですが、わたしが哲学を教わったシャルマ先生は毎回やっ…

エネルギーを与える前提で、背骨を立てて座る

座り方の説明を受けたときのこと。 「体の根っこから喉までのエリアがだいじ。このエリアを大きく使えるように、背骨を立てる」 という話の後に、シャルマ先生がなにげなく、こんなことを話されました。わたしは、これがいまだに心に残っています。 まっすぐ…

ビンゴでギーター 12章12節

この節は東京で2名のかたが選定されました。この節は、以下の修行のステップやありかたを示す説ですが、選定された方々の選定理由はまったく違う視点ものでした。 santih(静寂) ↑ karma-phala-tyagah(行為の結果の捨離) ↑ dhyana(瞑想) ↑ jnana(知識…

食事の前に歌うバガヴァッド・ギーター「15章14節」と「消化」のこと

座学で途中におやつタイムを入れる際に唱えている歌は、バガヴァッド・ギーター第15章14節です。 私は一切人火(ヴァイシュヴァーラナ)となって、生類の身体に宿り、プラーナ気とアパーナ気に結びつき、四種の食物を消化する。(上村勝彦 訳) 歌は、わたし…

そこに「編纂」はあっても「預言」はないヨーガ・スートラ

わたしがインドで受けた哲学の授業は、 初日に インド哲学は「心と体は離れていない」というのがベースだよ パタンジャリって、「ヨーガ・スートラの人」「プレイヤー(祈祷師)の人」「文法家の人」、有名な人が3人いるよ ヨーガ・スートラは何度読んでも発…