まろやかインド哲学

専門性よりも親しみやすさを優先し、インド思想(インドの視点)をまろやかな日本語で分解演習します。座学クラスの演習共有のほか、サーンキヤとヨーガの教典についてコメントしながら綴ります。

Samkhya Karika

識別できない存在(未展開プラクリティの存在)

サーンキヤ・カーリカー 第14節・その注釈で述べられていること 識別できないものと、そのほかのものは立証されています。3つのグナによって構成されたる、その逆はないこと(=グナがなければ構成されない)によって。 結果は原因(グナ)の本質に帰するの…

3つの性質(トリグナ)の詳細

サーンキヤ・カーリカー 第13節・その注釈で述べられていること サットヴァは軽快で、対象を照らす性質。ラジャスは要望し、活動を促し、落ち着かない性質。 タマスは重く、不明瞭な性質。これらは(3つの機能すべてが揃って)ロウソクのように、ひとつの目…

3つの性質(トリグナ)

サーンキヤ・カーリカー 第12節・その注釈で述べられていること トリグナは快・不快・消沈を自然な性質として持ち合わせ、(トリグナそれぞれは)照らすこと・活性化させること・抑制することを目的としています。 トリグナは相互に支配し、よりどころとなり…

根本原質としてのプラクリティ

サーンキヤ・カーリカー 第11節・その注釈で述べられていること 展開済みであってもなくても、根本原質としてのプラクリティは、 3種の性質(トリグナ)によって成り立ち トリグナと分け隔てのないもので 標的・対象になりえるもので 一般的で 意識がなく 生…

展開したプラクリティの状態

サーンキヤ・カーリカー 第10節・その注釈で述べられていること (展開したものは) 原因を持っており 永続するものではなく 在る場所を限られ(偏在せず) 動き活動し 多種多様で 依存し いずれ元に戻るように消えてなくなり 部分を持ち なにかに従属・付随…

結果は原因と同じ性質を持っている

サーンキヤ・カーリカー 第9節・その注釈で述べられていること 実体のないところからは、なにも実行されません。結果のためには、それに見合う物質的原因が選ばれます。すべてのなかに、なにかが存在することはありません。 能力のあるものが、実行可能なも…

プラクリティは、微細すぎて見えない

サーンキヤ・カーリカー 第8節・その注釈で述べられていること 微細なために、それは知覚されません。それが存在しないからではありません。結果を通じて、それは知覚されます。マハーなどの結果は、プラクリティとは異なるものであり、また似ているものでも…

存在するものが認識されないのは、こんなとき

サーンキヤ・カーリカー 第7節・その注釈で述べられていること (存在するものでも、このようなことにより認識されません) 遠すぎる 近い 感覚が機能していない 注意力が機能していない 微細 障害物がある 隠されている、制圧されている 似たものを混同し、…

直接経験・知覚のブレイクダウン2 知覚を超える認識

サーンキヤ・カーリカー 第6節・その注釈で述べられていること 共通に見られているものからの推論によって、知覚器官による知覚を超えたものが認められます。それでも知覚されようのないものは、信頼に値する教えによって確立されます。 <「サーンキヤ・カ…

直接経験・知覚のブレイクダウン1 推論は3種類ある

サーンキヤ・カーリカー 第5節・その注釈で述べられていること 「直接経験や知覚」は、知覚器官が対象を認識することです。「推論」は、3種類あるといわれています。それは、リンガとリンガのもとになるものによって先行されます。「信頼される人のことば」…

正しい知識を認める方法は3種類ある

サーンキヤ・カーリカー 第4節・その注釈で述べられていること 「直接経験や知覚」「推論」「信頼される人のことば」によって「正しい知識」のすべての証明が確立されています。この3種類の方法で「正しい知識」は認められ、その認識手段にもとづいて認識対…

こころのはたらきの生成要素数

サーンキヤ・カーリカー 第3節・その注釈で述べられていること 根源的なプラクリティは、展開しません。 マハーなどの7つはプラクリティであり、展開済のものです。 16のものも、展開済のものです。 プルシャはプラクリティではなく、展開するものでもありま…

サーンキヤで示すのは、「識別する力」

サーンキヤ・カーリカー 第2節・その注釈で述べられていること 目に見えたもの(第一節で述べた、苦しみを除去する方法)と同じく、ヴェーダに基づいた伝統は、不純・消滅・増強と結びついており、それらに反対のもののほうが、より望ましいです。「明らかな…

苦しみは3種類ある

サーンキヤ・カーリカー 第1節・その注釈で述べられていること 3つの苦しみによるダメージから、その苦しみを除去する方法を知りたいという気持ちが起こります。 その方法は目に見えているから、さらに知ろうとすることは無用なことかというと、そうではあり…

サーンキヤ・カーリカーのこと

サーンキヤー・カーリカー(Samkhya Karika)は、4~5世紀にサーンキヤ哲学の教義をイーシュヴァラクリシュナ(人名)がまとめた書で、日本ではサーンキヤ頌(しょう)と表記されることが多いです。註釈をガウダパーダ(人名)が残したものが、翻訳され、伝…