まろやかインド哲学

専門性よりも親しみやすさを優先し、インド思想をまろやかな日本語で分解演習します。座学クラスの演習共有のほか、インド六派哲学のサーンキヤとヨーガの教典についてコメントしながら綴ります。

呼吸が変わると心が変わる

インドで毎朝プラーナーヤーマの実践、午後に理論や哲学を教わっていたときのこと。午後の哲学の授業の時間に、シャルマ先生による 「プラナヤマの練習で大切なことはなに?」「What is yoga, what is not yoga?」 という問いかけからクラスが始まったことが…

夏目漱石の小説をインド哲学講座の題材にしている理由

2015年の夏の関西開催で、夏目漱石作品をもともといくつか読んでいて初参加をされたかたから「なんで夏目漱石なんですか?」というシンプルな質問をいただきました。 そこで作成したテキストに補足を加え、主な理由をいくつか紹介します。 二元論を超えよう…

1分の静寂。コントロールとクリーニング

わたしのヨガクラスでもよくやる「1分間サイレンス」の話。インドで授業のはじまり、合間に、先生が Silence と言ったら、すぐ1分間の静寂をつくり、黙想する。すべての先生がやっていたわけではないのですが、わたしが哲学を教わったシャルマ先生は毎回やっ…

エネルギーを与える前提で、背骨を立てて座る

座り方の説明を受けたときのこと。 「体の根っこから喉までのエリアがだいじ。このエリアを大きく使えるように、背骨を立てる」 という話の後に、シャルマ先生がなにげなく、こんなことを話されました。わたしは、これがいまだに心に残っています。 まっすぐ…

ビンゴでギーター 12章12節

この節は東京で2名のかたが選定されました。この節は、以下の修行のステップやありかたを示す説ですが、選定された方々の選定理由はまったく違う視点ものでした。 santih(静寂) ↑ karma-phala-tyagah(行為の結果の捨離) ↑ dhyana(瞑想) ↑ jnana(知識…

食事の前に歌うバガヴァッド・ギーター「15章14節」と「消化」のこと

座学で途中におやつタイムを入れる際に唱えている歌は、バガヴァッド・ギーター第15章14節です。 私は一切人火(ヴァイシュヴァーラナ)となって、生類の身体に宿り、プラーナ気とアパーナ気に結びつき、四種の食物を消化する。(上村勝彦 訳) 歌は、わたし…

そこに「編纂」はあっても「預言」はないヨーガ・スートラ

わたしがインドで受けた哲学の授業は、 初日に インド哲学は「心と体は離れていない」というのがベースだよ パタンジャリって、「ヨーガ・スートラの人」「プレイヤー(祈祷師)の人」「文法家の人」、有名な人が3人いるよ ヨーガ・スートラは何度読んでも発…

サーンキヤ・カーリカー インデックス (Samkhya Karka Index 01~73)

イーシュヴァラクリシュナによる70節と、ほか3節、合計73節のインデックスです。 どの節も常に巡回・更新を行っている、翻訳演習ノートのようなものです。 学びが深まったり間違いに気づいたらガラリと更新していますので、見た日の時点の内容と思って読んで…

(参考)「Matharavritti」から見出される第73節

「バラモンの精神界 インド六派哲学の教典」訳・解説 湯田豊には、他の書「Matharavritti」から見出される第73節の訳があるのでここに引用紹介します。 それゆえに、完結に考察されたこの教典は内容を欠いていない。そして、それは広大な教典という鏡に反射…

「シャシュティ・タントラ」から逸話をカットし、議論を避けた書き方になっている

サーンキヤ・カーリカー 第72節・その注釈で述べられていること 実に、ここまでの70節で述べられたことは「シャシュティ・タントラ(sastitantra)」全体の要旨でもあります。「サーンキャ・カーリカー」では逸話をカットし、議論も避けています。 <「サー…

イーシュヴァラクリシュナが簡潔なアーリヤー調の詩節にした

サーンキヤ・カーリカー 第71節・その注釈で述べられていること 弟子たちを通じて伝えられたこの教えは、教義をよく理解し、高貴な心をもつイーシュヴァラクリシュナによって簡潔なアーリヤー調の詩節にまとめられました。 <「サーンキャ・カーリカー」内で…

聖者からアースリへ、アースリからパンチャシカへ伝えられた

サーンキヤ・カーリカー 第70節・その注釈で述べられていること この聖なる最高の教えを、聖者は親愛の思いでアースリに与えました。アースリも、それをパンチャシカに与えました。彼(パンチャシカ)によって、その教義はつまびらかにされていきました。 <…

存続と生と死について考え伝えられた、秘められた知識

サーンキヤ・カーリカー 第69節・その注釈で述べられていること このプルシャの目的である知識は秘められ、最高の聖仙から伝えられました。それは存続、発生、崩壊について熟考され、構成されたものです。 <「サーンキャ・カーリカー」内でのこの節>この節…

肉体から離れて独存へ

サーンキヤ・カーリカー 第68節・その注釈で述べられていること 肉体から離れ、目的が達成されると根本原質は活動をやめ、たしかで、かつ終わりのない「独存」に達します。 <「サーンキャ・カーリカー」内でのこの節>よく「独存」や「解脱」と訳される kai…

完全な知識を得ても、過去の勢いで肉体は保有し続ける

サーンキヤ・カーリカー 第67節・その注釈で述べられていること 完全な知識を得ることで、功徳などのダルマが作用の原因としてはたらくことはなくなります。ろくろが粘度を取り去っても過去の勢いで回転し続けるように、身体は保有し続けます。 <「サーンキ…

プルシャは見ただけ。プラクリティは見られただけ。ただそれだけ

サーンキヤ・カーリカー 第66節・その注釈で述べられていること 一方は「わたしは見た」と思って無関心になり他のものは「わたしは見られた」と思って活動をやめます。両者が結びついたとしても、創造の必要性は存在しません。 <「サーンキャ・カーリカー」…

停止したプラクリティを、プルシャは観客のように眺める

サーンキヤ・カーリカー 第65節・その注釈で述べられていること それにより、生み出すことをやめ、目的による7つの様体をとらなくなったプラクリティをプルシャは観客のように、落ち着いてくつろいで眺めます。 <「サーンキャ・カーリカー」内でのこの節>…

原理を習得すると、知識が生まれてくる

サーンキヤ・カーリカー 第64節・その注釈で述べられていること このように、原理を練習によって習得することで「わたしは~ではない」「~はわたしのものではない」「~の存在はわたしではない」という、あますところのない、間違った認識のない、純粋でま…

プラクリティは様体を使って解脱する

サーンキヤ・カーリカー 第63節・その注釈で述べられていること プラクリティは7つの様体を使って、自分で自分を束縛します。プラクリティ自身がプルシャのために、ひとつの様体を使って解脱をさせます。 <「サーンキャ・カーリカー」内でのこの節>ではプ…

プルシャではなくプラクリティが束縛・解脱・輪廻をする

サーンキヤ・カーリカー 第62節・その注釈で述べられていること それゆえに、いかなるもの(プルシャ)も、束縛されることなく、解脱することなく、輪廻することもありません。さまざまなものを拠り所とするプラクリティが、束縛・解脱・輪廻をしているので…

プラクリティほどきめ細かく柔軟なものはない

サーンキヤ・カーリカー 第61節・その注釈で述べられていること 「プラクリティほどきめ細かく柔軟なものは、ほかには存在しない」というのがわたしの考えです。観る者に向けてふるまった後は、再びプルシャに見られようとはしません。 <「サーンキャ・カー…

プラクリティは無用なことを実行する

サーンキヤ・カーリカー 第60節・その注釈で述べられていること 新たなさまざまな方法を使って、情け深く非利己的に、プルシャのためにグナを有するプラクリティは、グナを有さないプルシャのために、意味もなく実行をします。 <「サーンキャ・カーリカー」…

プラクリティはプルシャにみずからを示したら活動を終える

サーンキヤ・カーリカー 第59節・その注釈で述べられていること ステージで演目を終えたダンサーが踊りを終了するように、プラクリティはプルシャにみずからを示したあと、活動を終えます。 <「サーンキャ・カーリカー」内でのこの節>第59節と第60節はフェ…

プラクリティはプルシャの解脱のために活動する

サーンキヤ・カーリカー 第58節・その注釈で述べられていること 思いを鎮めるために人間が行為をするのと同じように、プルシャの解脱のために、未展開のもの(プラクリティ)は活動をします。 <「サーンキャ・カーリカー」内でのこの節>サーンキヤ哲学の二…

根本原質としてのプラクリティの活動

サーンキヤ・カーリカー 第57節・その注釈で述べられていること 子の成長のために無意識の牛乳が活動するように、 プルシャの解脱のために、根本原質としてのプラクリティは活動します。 <「サーンキャ・カーリカー」内でのこの節>前節に引き続き、プラク…

プラクリティの活動目的

サーンキヤ・カーリカー 第56節・その注釈で述べられていること プラクリティの自動的な活動は、大なるものから元素に至るまでに及び、それはプルシャの解脱のために行われます。自己のためであるかのようでありながら、他のもののために開始されます。 <「…

苦しみは自然なこと

サーンキヤ・カーリカー 第55節・その注釈で述べられていること そこでは、知性をもつプルシャは老いと死によって引き起こされる苦しみを受けます。リンガが消滅するまで。それゆえ、苦しみは自然なことです。 <「サーンキャ・カーリカー」内でのこの節>被…

3種の性質(トリグナ)と被造物

サーンキヤ・カーリカー 第54節・その注釈で述べられていること サットヴァの多いものは上方に、タマスの多いものは下方に、ラジャスの多いものは中間に。創造はブラフマーから草にまで及ぶ。 <「サーンキャ・カーリカー」内でのこの節>前節の内容に即しつ…

被造物は3種類 神、動植物、人間 

サーンキヤ・カーリカー 第53節・その注釈で述べられていること まとめると、被造物は神々のものが8種類、動植物で5種類、人間で1種類あります。 <「サーンキャ・カーリカー」内でのこの節>このあとの第54節から「創造とグナ」の説明になるので、そのまえ…

「リンガ」と「状態」 2重の創造

サーンキヤ・カーリカー 第52節・その注釈で述べられていること 「状態」がなければ、「リンガ」は存在しません。「リンガ」がなければ、「状態」はあらわれません。そのれゆえに、「リンガと呼ばれるもの」「状態と呼ばれるもの」として、2重の創造が行われ…