まろやかインド哲学

専門性よりも親しみやすさを優先し、インド思想をまろやかな日本語で分解演習します。座学クラスの演習共有のほか、インド六派哲学のサーンキヤとヨーガの教典についてコメントしながら綴ります。

座学のおしらせ「夏目漱石読書会『行人』をインド哲学視点で読む会」8月・東京

夏目漱石の「行人」を題材としたインド哲学視点読書会を東京で行います。

夏目漱石作品とヨーガのなかにある考え方の親和性では、肉体と精神の連動なら「坑夫」、怒りなら「坊つちゃん」、信愛(バクティ)なら「門」、記憶の混乱と妄想なら「行人」というように、作家の描写の細かさをきっかけに触れやすくなる題材が多くあります。

ヨーガでは知性を失う要素に「感覚」「愛着」「欲望」「怒り」「妄想」「記憶の混乱」の連続性をあげます。この視点で夏目漱石の「行人」を読むと、通常の読書とはひと味ちがい、その世界はまるで自然の風味が複雑に絡み合うインド・カレーのよう。

今年の夏を、そんな人間のコクとスパイスに満ちた読書会でともに乗り切ってまいりましょう。きっと元気が出ますよ☆

 

バガヴァッド・ギーターというインドの聖典(詩集のような形式)に、こんな節があります。

感覚の対象を見 また思うことで

人はそれに愛着するようになり

その愛着によって欲望が起こり

欲望から怒りが生じてくる

怒りに気が迷って妄想を生じ

妄想によって記憶が混乱し

いままでの教訓を忘れ 知性を失う

その結果 人はまた物質次元に堕ちる

(2章62節・63節 田中嫺玉「神の詩 バガヴァッド・ギーター」より)

りっぱな学問をしている人、地位の高い人、尊敬されてきた人でも、ときに社会音痴ともいうような視点が起こる。人間が知性を失うことを繰り返すのは、どうしてでしょう。これを自ら反省するのはたいへんしんどいことですが、大丈夫。「行人」の登場人物たちが、わたしたちを楽しく煙に巻きながら微細な内省世界へ連れて行ってくれます。

 

読書会は多眼(複数の人の目)で読む会です。人はひとりの人生劇場しか演じられないけれど、小説を材料にすることで、ひとりの視点ではみえなかった世界を、何倍もの密度で感じることができます。それぞれの頭のなかの漠然を、インド哲学視点での分解と共に交換していきましょう。

当日はみなさんの宿題に書かれたコメントをベースに構成・編集したテキストとともに進行します。初参加の人も、これを機に「多眼読書」の世界にどうぞ仲間入りしてください。「発言できないかも…」なんて心配は、来てみれば無用。読了できていれば必ずや楽しめます。(「行人」はちょっと昼メロ風情もあるファミリー・ドラマです)

 

  • 開催日時:2018年8月26日(日)12時10分~15時
  • 開催会場:世田谷ものづくり学校 ミーティングルーム
  • 参加費:3500円(当日会場でお支払いください)
  • 持ちもの:筆記用具、「行人」
  • 事前準備:お申し込みをいただいた方へ、簡単な宿題をメールでお出ししますので、8月19日(日)18時までに返信をください。むずかしいことは問わない、ちょっとした感想くらいの宿題です。

★先にニュートラルな状態で読みたい、宿題を受付のタイミングよりもあと(8月)に知りたいというかたは、その旨申し込みフォームにチェックを入れてください。

 

▼申し込みはこちらからどうぞ


 

▼この形式でのインド哲学講座については、こちら開催理由を書いています。