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まろやかインド哲学

専門性よりも親しみやすさを優先し、インド思想をまろやかな日本語で分解演習します。座学クラスの演習共有のほか、インド六派哲学のサーンキヤとヨーガの教典についてコメントしながら綴ります。

展開したプラクリティの状態

サーンキヤ・カーリカー 第10節・その注釈で述べられていること

展開したものは

  • 原因を持っており
  • 永続するものではなく
  • 在る場所を限られ(偏在せず)
  • 動き活動し
  • 多種多様で
  • 依存し
  • いずれ元に戻るように消えてなくなり
  • 部分を持ち
  • なにかに従属・付随する

そういうものです。

未展開のものは、この逆です。

 

<「サーンキヤ・カーリカー」内でのこの節>

前節同様、「因中有果論」「開展説」と呼ばれるものを掘り下げています。第11節以降はトリグナとプラクリティの関係を説いていくことになるため、このは展開説の宣言とトリグナの説明の間に位置します。

「発現・存在してしまった以上は避けられない命運リスト」というと大げさですが、これを淡々と細かくリストアップし述べていくところがサーンキヤの特徴です。

 

<日本語化の意図メモ>

タイトルはとても困りました。「展開済みのもの」ではカタいのでこのようにしました。

「在る場所を限られ」は、ひとつ前の事項(永続しない)の制限ニュアンスを引き継ぎ、あえてはっきりしたことばにしました。「広がりのない」「偏在しない」「どこにでもあることはない」という意味です。

「依存し」は、英文解説に「プラクリティを推測する」という補足がありました。服部正明先生の補足に「先行する原理に依存する」とあります。展開する主体の原因が同じものの中にあるという意味なので「依存し」では少し違和感が残ります。

「いずれ元に戻るように消えてなくなり」の部分は「lingam」という語ですが、

リンガ⇒あらわれ⇒いずれまた元に戻り、なくなる。ということではないかと理解しました。
過去の先生方の訳は「帰滅し」「環滅し」「没入し」となっていますが、ここでは仏教語的なニュアンス流れていかないように「いずれ元に戻るように消えてなくなり」としました。

 

<用語メモ>

原因を持つ、原因による(hetumat)
はかない、一時的、永続しない(anitya)
偏在しない、広がりのない、普及しない、限界のある(avyapin)
動く、活動する(sakriya)
さまざまな、多種多様の(aneka)
依存する、寄りかかる、支えられる(asrita,ashrita)
いずれ元に戻るように消えてなくなり(linga)
部分からなる、部分を持つ(savayava)
なにかに従属する、なにかに付随する(paratantra)
展開したもの(vyakta)
未展開のもの(avyakta / a=not)
逆の、反対の(viparita)

 

<バガヴァッド・ギーター 関連節>
顕現・非顕現(vyakta / avyakta)について、以下の節で説かれています。

「バガヴァッド・ギーター」上村勝彦 訳 より

【2章28節:BG2-28】
万物は、初めは顕現せず、中間が顕現し、終りは顕現しない。ここにおいて、何の嘆きがあろうか。

 

【8章18節:BG8-18】
昼が来る時、非顕現のもの(根本原質)から、すべての顕現(個物)が生ずる。夜が来る時、それらはまさにその非顕現と呼ばれるものの中に帰滅する。

 

【8章20節:BG8-20】
しかし、その非顕現のものよりも高い、別の永遠なる非顕現の存在がある。万物が滅びる時も、それは滅亡しない。

 

【8章21節:BG8-21】
その非顕現の存在は不滅と言われる。最高の帰趨と言われる。人々はそれに達すれば、回帰することはない。それは私の最高の住処(様態)である。

ただし21節はabcd部に4分割すると、ウパニシャッドやギーター内の他節と重複する。

 

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