まろやかインド哲学

専門性よりも親しみやすさを優先し、インド思想(インドの視点)をまろやかな日本語で分解演習します。座学クラスの演習共有のほか、サーンキヤとヨーガの教典についてコメントしながら綴ります。

アハンカーラは、知覚したものを自己に関連づける

サーンキヤ・カーリカー 第24節・その注釈 で述べられていること

知覚したものを自己に関連づけるのが「アハンカーラ」です。そこから2種類の創造がなされます。

「11の数ある一群」と「5つの微細な要素」です。

 

 <「サーンキャ・カーリカー」内でのこの節>

前の第23節でブッディ、この第24節でアハンカーラの説明をしています。この説明の後、知覚器官との関連性の説明へ入っていきます。

「11の数ある一群」のうちの10は第26節で説明されます。

 

 残りの1は第27節で説明されます。

 

「5つの微細な要素」は29節と38節で説明されます。


<日本語化の意図メモ>

ここは「ahankara,ahamkara / ahaGkAra」という機能の説明なので、その単語の示すものを感じていくために、カタカナ表記です。過去の訳では以下のような例があります。

英文の書籍や英語での説明場面では、「I-ness」という表現をよく見聞きします。(参考

【知覚したものを自己に関連づける】という表現は、シンプルに「我執」と訳されることが多いです。が、「自己への関連づけかた」にはさまざまなグラデーションがあるので、あえて冗長な書き方にしました。(たとえば、「わたしの育った土地」と「わたしのふるさと」では微妙に意識が違います)

 

<用語メモ>

アハンカーラ、自我意識、私・意識、I-ness(ahankara,ahamkara)
知覚したものを自己に関連づけること、我執(abhimana,abhimano)
2(dvi)
2種類(dvividhah)
行われる、結果、そうなる、有効である、適用される(pravartate)
創造(sargah)
11(ekadasa,ekadasha)
~からできあがっているセット、~より成る集合、~からなる一群、グループ、クラス(gana,ganah,ganas)
微細な要素(tanmatra)
5(pancha,panca)
5つの(pancakas)
ほんとうに、まことに(cai'va = ca eva)

 

<バガヴァッド・ギーター 関連節>

インドでの哲学授業で、バガヴァッド・ギーターの13章5節、13章7節はサーンキヤの視点において重要なことを述べている節と教わりました。

あらためて読んでみると特に13章5節はサーンキヤ・カーリカーのこの第24節は特に関連が深いことがわかったので、参考までにここに添えておきます。

「バガヴァッド・ギーター」上村勝彦 訳 より

【4節の前半=5節に続く内容:BG13-4】

聖仙たちは数々の賛歌によって、多様に、個別にそれを説いた。

【5節:BG13-5】

(五種の)元素、自我意識、思惟機能、非顕現のもの(プラクリティ)、十の感官と一(思考)器官、五の感官の対象

 

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