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まろやかインド哲学

専門性よりも親しみやすさを優先し、インド思想をまろやかな日本語で分解演習します。座学クラスの演習共有のほか、インド六派哲学のサーンキヤとヨーガの教典についてコメントしながら綴ります。

ブッディ・アハンカーラ・マナスの3つは、独自の特質をもってはたらく

サーンキヤ・カーリカー 第29節・その注釈で述べられていること

3つ(ブッディ・アハンカーラ・マナス)は、独自の特質をもつことが、そのはたらきです。(10の器官のはたらきとは)共通しないものです。
プラーナなどの5つの風は、(すべての器官に)共通のはたらきをします。


<「サーンキャ・カーリカー」内でのこの節>
第26節で、「11の数ある一群」のうち10個まで説明。
第27節で、残りのひとつ「マナス(思考器官)を説明。
第28節で、もう一度26節の10個について、これらはただ「機能する器官」であることを強調。
第29節で、「ブッディ・アハンカーラ・マナス」のグループと「機能する器官10個」のグループは共通しないはたらきをもつが、プラーナなどの5つの風はその両グループに共通する。と説明←いまここ
第30節は、「ブッディ・アハンカーラ・マナス」のグループと「機能する器官10個」のグループの接点から認識が成立するという説明になり、それ以降でさらに詳述されます。

 

この節でヨーガ学派の修行の要素と強く密接していきます。
(参考)5つの風(五気)は、以下を指します。

  • プラーナ
  • アパーナ
  • ウダーナ(ヨーガ・スートラ:YS3-40に詳述あり。下記参照)
  • サマーナ(ヨーガ・スートラ:YS3-41に詳述あり。下記参照)
  • ヴャーナ

 

<日本語化の意図メモ>
前半では、「独自の特質をもつこと」に意味があり、だからこそ定義ができ、「認識」について説明ができるのだ。ということを説いています。
後半にある「プラーナなどの5つの風」は、そのひとことで通じるくらい、ウパニシャッドから脈々と語り継がれる要素です。サーンキヤ・カーリカー内でここは掘り下げられません。

 


<補足>
ペーパーバッグの「Samkhya Darshan / Swami Niranjanananda Saraswati」付録にあるこの節の説明があまりにすばらしいので、訳して紹介します。
下記の説明を読むと、この節が「自律」について説明している節であることがよくわかります。
ブッディ・アハンカーラ・マナスのもつ独自のはたらきは、それぞれ

  • adhyavasaya(影響を及ぼすことのできる認識、洞察力)
  • abhimana(自分で断言すること)
  • 熟考のプロセスや sankalpa / samkalpa(サンカルパ 分析・分解の思考)

とも呼ばれるものだ。
この一般的な三つ巴の機能は、プラーナ(生命の気)を支えたり継続させたりするためにある。

 

<用語メモ>
特有の特質、特有の性質、自然な気質、独自の特質(svalaksanya)
はたらき、作用(vrtti)
3つの(trayasya)
そして、同じく そして、それらと同じ(sa esa / sai'sa)
存在する(bhavaty)
一般的ではない、共通しない、特殊な、特別な(asamanya / a=not)
一般的な、似ている、通常の(samanya)
器官(karana)
プラーナ(prana)
プラーナほか(pranadya)
風をおこす(vayava)
5つの(panca,pancha)

<ヨーガ・スートラ 関連節 / 5つの風>
ヨーガ・スートラ第3章40節、第3章41節(中村元 訳)より

YS3-40:(特別の集中的修行によって体内の五つの風の一つである)上気(udana)に打ち克つ(jaya)ならば、水や泥や棘などにとらわれ粘着することがない
(asanga=妨げられることがない)そうして(死後には)上方に昇る(utkranti)。
YS3-41:(五風の一つである)等気(samana)に打ち克つならば、それにもとづいて(その身に)火焰(jvalana)が(燃え立ち光り輝きが生じる)。

 

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