まろやかインド哲学

専門性よりも親しみやすさを優先し、インド思想(インドの視点)をまろやかな日本語で分解演習します。座学クラスの演習共有のほか、サーンキヤとヨーガの教典についてコメントしながら綴ります。

Samkhya Karika

功徳は上方へ、不徳は下方へ。知により解脱へ、無知により束縛へ

サーンキヤ・カーリカー 第44節・その注釈で述べられていること 功徳は上方へ向かいます。不徳は下方へ向かいます。知によって解脱が、その反対のもの(無知)によって束縛があると認められています。 <「サーンキャ・カーリカー」内でのこの節>前の第43節…

ダルマの状態は3種類ある

サーンキヤ・カーリカー 第43節・その注釈で述べられていること 功徳には、先天的な生まれつきのもの、自然にそなわるもの、後から獲得するものがあります。これらは器官を拠り所とすると認められています。妊娠直後の胎児は、結果(である粗大な身体)を拠…

偏在するプラクリティとの結びつきでリンガがあらわれる

サーンキヤ・カーリカー 第42節・その注釈で述べられていること リンガ(微細な身体)は、プルシャの目的を理由に、原因と結果が結びつくことによって、さまざまな形で、ときに偶発的にあらわれます。プラクリティ(そのあらわれのなかに潜在的に存在してい…

リンガは微細な要素を拠り所とする

サーンキヤ・カーリカー 第41節・その注釈で述べられていること (キャンバスのような)拠り所がなければ、絵は存在できません。杭がなければ、影は存在できません。これと同じように、リンガ(微細な身体)は、微細な要素を拠り所とすることで存在します。 …

リンガは永遠に存在し、輪廻する

サーンキヤ・カーリカー 第40節・その注釈で述べられていること リンガ(微細な身体)は(世界が)存在する前からあり、固執することなく、永遠に存在しています。大きなものから微細なものまでを範囲としたものから構成され、(経験を持つことがなく)さま…

微細なものは永遠に存在し、粗大なものはいずれ消滅する

サーンキヤ・カーリカー 第39節・その注釈で述べられていること 微細なもの、母父から生じた身体は、粗大な元素とともに、3種類のありかたで特異化・変化して存在するでしょう。それらのうち、微細なものは永遠に存在し、母父から生じた身体は消滅します。 …

微細なものは特異化しない。粗大なものが特異化する

サーンキヤ・カーリカー 第38節・その注釈で述べられていること 微細な要素は、特異なものに変化することはありません。微細な5つの要素から5つの粗大な元素があらわれ、この粗大なものが特異に変化すると定められています。おだやかな(サトヴィックな)も…

ブッディは微細なものを識別する

サーンキヤ・カーリカー 第37節・その注釈で述べられていること ブッディはプルシャに、あらゆるものに対する "享受" を成立させます。 またさらに、「プルシャがプラクリティとは別のものである」という微細な違いを識別しているのもブッディです。 <「サ…

プルシャが目的とするものが器官の協力によって照らし出され、ブッディに渡される

サーンキヤ・カーリカー 第36節・その注釈で述べられていること グナが特別に変化したものであるこれら(3つの内的器官と10の外的器官)は、それぞれ特異質を持ちながら、ロウソクの役割を果たします。プルシャが目的とするものをすべて照らし出し、ブッディ…

ブッディと内的器官は門番、外的器官は門

サーンキヤ・カーリカー 第35節・その注釈で述べられていること 内的器官とともにブッディはすべての対象を捉えます。そのため、3種の内的器官が門番、ほかの外的器官が門ということになります。 <「サーンキャ・カーリカー」内でのこの節>すべての対象の…

知覚器官、行為器官の対象領域

サーンキヤ・カーリカー 第34節・その注釈で述べられていること これら13の器官のうち、5つの知覚器官は特殊なことも、特殊でないことも対象にします。 (行為器官のうち)「話す」器官は音を対象にします。 そしてその残りの行為器官は(「色」「音」「香」…

外的器官は現在だけを、内的器官は過去・現在・未来を対象とする

サーンキヤ・カーリカー 第33節・その注釈で述べられていること 内的器官は3つあります。外的器官は10個で、3つの内的器官の対象といわれます。外的器官は「現在」を対象とし、内的器官は3つの時(過去・現在・未来)を対象とします。 <「サーンキャ・カー…

捉える、保持する、明らかにする

サーンキヤ・カーリカー 第32節・その注釈で述べられていること 道具である器官は13種類あります。(5つの行為器官は)「捉えること」と「保持すること」をします。(5つの知覚器官は)「照らすこと」をします。これら(13種類の器官)のはたらきかけは10種…

道具である器官を動かすことができるのは、プルシャだけ

サーンキヤ・カーリカー 第31節・その注釈で述べられていること 道具である器官は、それぞれが刺激を得て、それぞれのはたらきをします。この道具を動かす原因になりえるのは、プルシャの目的だけです。道具である器官がほかの何者かにはたらかされることは…

見える対象、見えない対象への4器官のはたらきかた

サーンキヤ・カーリカー 第30節・その注釈で述べられていること 4つ(ブッディ・アハンカーラ・マナス・知覚行為器官のどれかひとつ)は、見えるものに対して、同時または順次にはたらきます。同じように、見えないものに対しては、3つ(ブッディ・アハンカ…

ブッディ・アハンカーラ・マナスの3つは、独自の特質をもってはたらく

サーンキヤ・カーリカー 第29節・その注釈で述べられていること 3つ(ブッディ・アハンカーラ・マナス)は、独自の特質をもつことが、そのはたらきです。(10の器官のはたらきとは)共通しないものです。プラーナなどの5つの風は、(すべての器官に)共通の…

知覚器官は、ただ知覚するだけ。行為器官は、こんなことをする

サーンキヤ・カーリカー 第28節・その注釈 で述べられていること 形やその他の5つの知覚器官のはたらきは、ただ知覚をするだけのものです。 話すこと・手で取ること・歩くこと・排泄すること・性のよろこびが、5つの行為器官のはたらきです。 <「サーンキャ…

マナス(思考器官)

サーンキヤ・カーリカー 第27節・その注釈で述べられていること (知覚器官・行為器官の)両方の性質をもっているのがマナスです。なにかを分別したり確定したりします。(知覚器官・行為器官を同様のことを備えているので)器官です。 グナの展開・転変(展…

ブッディ・インドリヤ(知覚器官)と カルマ・インドリヤ(行為器官)

サーンキヤ・カーリカー 第26節・その注釈 で述べられていること ブッディ・インドリヤ(知覚器官)は、目・耳・鼻・舌・皮膚として知られ、発声器官・手・足・排泄器官・生殖器官は、カルマ・インドリヤ(行為器官)と呼ばれます。 <「サーンキャ・カーリ…

アハンカーラの発現元 3つのグナと自我意識

サーンキヤ・カーリカー 第25節・その注釈で述べられていること サットヴァの豊富な11(の感覚器官)は、(サットヴァが豊富な状態に)変化したアハンカーラから発現します。 元素から微細な要素が発現します。それはタマス質のものです。タイジャサ(炎のよ…

アハンカーラは、知覚したものを自己に関連づける

サーンキヤ・カーリカー 第24節・その注釈 で述べられていること 知覚したものを自己に関連づけるのが「アハンカーラ」です。そこから2種類の創造がなされます。 「11の数ある一群」と「5つの微細な要素」です。 <「サーンキャ・カーリカー」内でのこの節>…

「ブッディ」は、「決める」というこころのはたらき

サーンキヤ・カーリカー 第23節・その注釈で述べられていること 「ブッディ」は、「決める」というこころのはたらきをします。 「功徳」「知識」「離欲」「力の使い方をコントロールすること」ができるのは、サットヴァが豊富な状態のあらわれです。 タマス…

「プラクリティ」「マハー」「アハンカーラ」と、16からなるグループ

サーンキヤ・カーリカー 第22節・その注釈で述べられていること プラクリティから「マハー(大なるもの)」が展開します。 マハーから「アハンカーラ(自我意識、I-ness)」が展開します。 アハンカーラから、16のものから構成されるグループが展開します。 …

プルシャとプラクリティが結びつくことで、創造がある

サーンキヤ・カーリカー 第21節・その注釈で述べられていること プルシャは「見る」ことのために、根本原質としてのプラクリティは、プルシャが「独存する」ことを成し遂げるために結合します。 盲人が足の不自由な人を背負って目的地へたどり着こうとするよ…

プルシャとグナの結びつき

サーンキヤ・カーリカー 第20節・その注釈で述べられていること それによって、それらが結合したときには、まるで無感覚な微細体(リンガ)があたかも意識を備えているかのような状態になります。 また、グナが活動の主体であるのに、ニュートラルなもの(プ…

プルシャは分離して存在する

サーンキヤ・カーリカー 第19節・その注釈で述べられていること(この節は第11節「根本原質としてのプラクリティ」との対比の形で語られています) それゆえ、(第11節と)の反対の関係にあるため、プルシャが以下であることが立証されます。 独立分離してい…

プルシャはユニーク化できる存在

サーンキヤ・カーリカー 第18節・その注釈で述べられていること (プルシャの存在の複数性は、以下により立証されると述べる) 固体の生死、器官が個体それぞれに定められているから。同時に活動をしないことがあるから。(=バラバラで活動することがあるか…

プルシャは存在する

サーンキヤ・カーリカー 第17節・その注釈で述べられていること すべての集合体はなにかの目的のためにあります。トリグナとは逆のもの(トリグナによって構成されないもの)にコントロール権限があります。 プルシャは経験する主体としてそこに存在します。…

識別できないものであっても、存在はしている理由のブレイクダウン

サーンキヤ・カーリカー 第16節・その注釈で述べられていること (「識別できないものであっても、いま展開していないだけで存在はしている」とみなされるべきだ。と主張する理由を詳述) 未展開のものは、原因として存在します。トリグナのはたらきによって…

識別できないものであっても、存在はしている理由

サーンキヤ・カーリカー 第15節・その注釈で述べられていること (前の節で「識別できないものであっても、いま展開していないだけで存在はしている」とみなされるべきだ。と主張した理由として以下をリストアップする) 数や量は切られるから 関係性がある…