まろやかインド哲学

専門性よりも親しみやすさを優先し、インド思想(インドの視点)をまろやかな日本語で分解演習します。座学クラスの演習共有のほか、サーンキヤとヨーガの教典についてコメントしながら綴ります。

ヨーガの目的は強いディフェンス・メカニズムをつくること

日本ではデトックスという言いかたが親しまれていますが、インドで受けたナチュラル・トリートメントという考えかたについての講義で毒出しについての話がありました。小さなことが毎日いろいろ起こるなかで、人はバランスをとっている。これは体に限ったこ…

面接のとき、右の鼻が通っていたら右足から踏み出す

月暦(ルナカレンダー)と左右の鼻の通りの優性について教わったときのこと。月が大きくなる15日のスイッチ後、左右の優勢が一時間ごとに変わるという説明のあとに、シャルマ先生が雑談でよくあるメソッドとして以下のことを紹介してくれました。「You can c…

質問を口にする前に自分に問いかける

10代の学生さんもいる場で講座を行ったときのこと。その日は初対面の人ばかりだったので「もし質問があれば、今日はこのあとまだここにいますのでどうぞ訊きに来てください」と伝えつつ、あわせて以下のことを話しました。 ---- もし質問したいことが起こっ…

「無執着」のよくあるまちがった理解

ヨーガの哲学に必ずといっていいほど、しつこいといっていいほど登場する「non-attachment」「detachment」については、「こうではない」というイメージを併せもつことが有効のようです。わたしは授業で「よくあるまちがった理解」について教わりました。 シ…

30%の人は7つの穴に問題を抱えているといわれる

朝のクリヤの練習でシャルマ先生が「30%の人は7つの穴に問題を抱えている」といわれる。だからこの修行があるという話をされたことがありました。7つの穴というのは、目×2、鼻×2、耳×2、口 の合計7つの穴のことです。このお話を聞いたのは以下の練習を経験…

インド人の日本語がたまにかわいいのは、ぶりっこではない

これはマントラの音について説明するときに、たとえのように話すトピックです。サンスクリット語の音は日本語よりも子音が多く豊穣なのですが、「ざじずぜぞ」のなかでは「じ」しかありません。外国の人にとっては強い「ざじずぜぞ」の連続がむずかしすぎる…

5つのM(Panca Makara)の「Maithuna(性交)」

タントラ・ヨーガへの誤解を生むものとされている5つのM(Panca Makara)。この「Maithuna(性交)」についてはハタ・ヨーガ・プラディー・ピカー第3章83節のように理解のされかたとしては誤解を生みやすいものだという話になり、シャルマ先生がハタ・ヨーガ…

5つのMと魚の話

5つのM(Panca Makara)の話そのものは、インド思想のヨーガに関わるトピックの中では、"誤解のもとのひとつ" として形で扱われているもの。これについて、シャルマ先生が少しだけ雑談で話してくれたことがありました。どんな話しかたをするのかな…と、気に…

仕返しのチャンスがきたときに、ひっこめられること

今日ここで書くことは、バガヴァッド・ギーターの読書会にヒクソン・グレイシーという格闘家の自伝本を読んだことのある方がいらっしゃっていた際にわたしが話したことです。過去にその本を別のブログで紹介したことがあったので、ブログには書かなかった背…

ビンゴでギーター 6章5節

※2018年6月に新潟で選定者が増えたため、加筆しアップデートしました。 この節は5名のかたが選定されていました。前半は向上心を強く後押しし、後半は自分を振り返ることを促す節です。 選定者の理由は、このようなコメントでした。 職場でのできごとを思い…

パタンジャリは三人いる

インドでインド哲学のクラスを受けていた頃、初日にシャルマ先生がパタンジャリは三人いるという話をしてくれました。これは弘法大師のようにあちこちに伝説があるという話だろうかと思っていたら、そうではありませんでした。ヨーガを学ぶとパタンジャリ=…

神の存在のイメージが "道徳の先生" よりも "友だち" に近いインド

バガヴァッド・ギーターの読書会で、第9章7節・8節で展開される世界の仕組みの語りに対して「"はじめから何も生み出さなければ、こんなややこしい世界にならないのに" という点について、あっさりスルーされていてちょっと悶々とする」という感想を聞かせて…

ビンゴでギーター 4章22節

※2018年5月に関東で選定者が増えたため、加筆しアップデートしました。 この4章22節は東京で5名のかたが選定されました。 迷うことから解放されることについて説かれる節ですが、出だしのフレーズでいきなり心を掴まれる。どの訳にもそれぞれ味わいがあり、…

ムース除毛とワックス脱毛

わたしが開催しているハタ・ヨーガのクラスへはじめてやってきた女性と、クラスの後にこんな雑談をしたことがありました。平日夜のヨガクラスでは、背骨・肩・股関節をダイナミックに動かすことで「すっきり感」を得られることを大切にメニュー構成をしてい…

「煮沸消毒」と「こすり洗い」

この理解・解釈は自分の中にずっとあるもので、身体を動かすヨガクラスでたまに話していることです。わたしはヨガ・インストラクターやヨガ講師と言われる立場でクラスをリードしますが、練習に来る人の宗教観はさまざま。なので、日常に落とし込んだ説明を…

ビンゴでギーター 3章35節

※2017年1月に関東で選定者が増えたため、加筆しアップデートしました。 この節は関西で2名、関東で4名のかたが選んでいました。前半は18章47節と同じですが、カーストのない日本人にはこの3章35節のほうが沁みやすいようです。 18章47節の後半は「本性により…

執着にもバリエーションがある

バガヴァッド・ギーターの読書会で、気になる節として13章10節を選んだかたが、 『ひとことで「執着」といっても、それをよくないと思っている人もいるし、むしろわたしの場合は少し執着しているふりのようなことをしないと相手を悲しませたり怒らせてしまう…

さびた自転車であることを認めて、少しぐるりと大回りでいこう

わたしのところへは、かつてヨガをやっていて、久しぶりに再開しようという気持ちで来られるかたもいらっしゃいます。 先日、一度おいでになったあと少しブランクを経ておいでなったかたが「前回、頑張りすぎちゃって…」とおっしゃっていました。 「前回は、…

ビンゴでギーター 3章13節

この3章13節は東京でビンゴしました。お二人とも上村勝彦訳を読んでいらっしゃり、それぞれ理由を聞かせてくださいました。 食欲万歳、常に力いっぱい食べるのを楽しみとする毎日なので、この節が気になりました。註釈を読んで「結果に執着しない行為なんて…

暗示になるから言わない

これは座学ではなくヨガクラスであったこと。直近数回の練習の動きで少し気になる左右差が見えた人に 「右の足首、ケガかなんかしてます?」 とたずねたら、とくにケガではなかったようなのですが「前から気づいていたのですか」と言われました。気になって…

ill-willの感情が論外視されがちである、という認識

夏目漱石の小説を題材に、インド思想の心理学視点で「心」を掘り下げていく時間でお話したこと。ここでは過去にインド人のヨガの先生から過去に聞いた話を含めて書き起こします。この話をしたのは、「坊つちゃん」という小説に登場する主人公のさまざまな「…

「光り輝く」にもいろいろありまして

これは、たまに背景の思想も含めながら説明をする拡大版・ハタヨーガのクラスで話したこと。その内容に、解説を加えて書きます。その日は呼吸法のカパーラ・バーティをやりました。この「バーティ」には光り輝くという意味がありますが、あまり端的に話して…

訳のトーンの差を見る。バガヴァッド・ギーター9章23節の「avidhi purvakam」

バガヴァッド・ギーターを読む会の関西開催で話した、ギーターの日本語訳のおもしろさについて。 ギーターをいろいろな訳で読んでいると、こういうのは訳しにくいのだろうなと思うところがいくつもあります。9章23節の最後「avidhi purvakam」の部分は、学者…

ビンゴでギーター 18章47節

この節は神戸で3名、東京で1名のかたが気になった節として選んでいます。前半が3章35節とまったく同じなので、こちらを選んでいる時点で、決め手としては「天性によって定められた義務」「罪の意識」のあたりにおのずとフォーカスがあたります。4名のうち3名…

ビンゴでギーター 3章8節

この3章8節は神戸と東京でビンゴしました。それぞれわりと長くヨガを練習しているかたですが、こんな理由をお話してくれました。神戸参加のかたは上村勝彦訳、東京参加のかたは スワミ・ヴィラジェシュワラ著/岡太直 訳 を読んでのコメントです。 ここ数年意…

ギーターの暗唱のようなことが起きた

バガヴァッド・ギーターを読む会の関西開催で、こんなことがありました。 参加者の感想のなかに、クリシュナがまるで「ジャイアン・リサイタルのようだ」「なんでこんなにパーティー・ピーポーっぽいのか」という率直なコメントがあり、わたしもそんなことを…

ビンゴでギーター 2章47節

(※2016年に東京で選定者が増えたため加筆しアップデートしました) この2章47節は京都で1名、神戸で2名、東京で6名の選定者があったほか、共感する人の多い節です。選んだきっかけとして、こんな理由をお話してくれました。 いま非正規雇用で働いています。…

サイコロジカルのヨガ、サイコフィジカルのヨガ

シャルマ先生はまだ若いので(わたしより若い)、講義はいつも事例が現代的。モンキー・マインドの説明に「まだ手持ちのものが使えるのに、新しいiPhoneが欲しい人」が出てきたり、有名な聖者が世界でどんなふうに支持されているかにもアンテナが張られてい…

サドゥーとストレス

インドのリシケシという場所には、たくさんのサドゥーと呼ばれる人がいます。だいたいはオレンジ色の服を着て、アシュラム周辺やガンジス川の河川敷で生活をしています。はじめは「こんな生活をする人が実際にいるなんて」とインドのそれらしさに刺激を受け…

集中したアーサナの練習1回で、ギーターを1冊読んだような心身読了感

アーサナを何年も継続してからギーターを読むようになった人が、読書会で感官の制御に関する節を選ぶケースが増えてきました。わたしはヨーガはその哲学に入る前にアーサナのクラスを経てから参加いただくのがよいと思っていて、アーサナのクラスはもちろん…