まろやかインド哲学

専門性よりも親しみやすさを優先し、インド思想(インドの視点)をまろやかな日本語で分解演習します。座学クラスの演習共有のほか、サーンキヤとヨーガの教典についてコメントしながら綴ります。

微細なものは特異化しない。粗大なものが特異化する

サーンキヤ・カーリカー 第38節・その注釈で述べられていること

微細な要素は、特異なものに変化することはありません。
微細な5つの要素から5つの粗大な元素があらわれ、この粗大なものが特異に変化すると定められています。
おだやかな(サトヴィックな)もの、動揺した(ラジャシックな)もの、にぶい(タマシックな)ものです。

 

<「サーンキャ・カーリカー」内でのこの節>
13の器官の説明とブッディのもつ統覚機能の説明を終え、第37節の末尾で予告された「微細な違いを識別する」の「微細なもの」の説明に入っていきます。

 

<日本語化の意図メモ>
ここは、ヨーガを学ぶ人はトリグナの知識があるという前提で、なるべくサンスクリット文の順番を崩さずに訳しました。

 

<用語メモ>
微細な要素(tanmatra)
変化する、認められる、識別できる、discernible(visesa)
変化しない、認めることができない、識別できない、indiscernible(a+visesa / a=not)
~から、~に、~のほうへ、~まで(tebhyo,tebhyah)
元素、要素(bhuta)
5(panca,pancha)
5つから(pancabhyah)
これら(ete)
定められた、規定された(smrta)
静かな、おだやかな、平穏な、晴朗な(santa,shanta)
動揺した、不安を生じさせる、荒れた、混乱した、心地よくない(ghoras,ghora)
惑わす、にぶい、愚かな、あいまいな(mudha,moodha)
※識別できる、できないをより微細的に表現する日本語がない。英語だと discernible/indiscernible がある。

 

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