まろやかインド哲学

専門性よりも親しみやすさを優先し、インド思想(インドの視点)をまろやかな日本語で分解演習します。座学クラスの演習共有のほか、サーンキヤとヨーガの教典についてコメントしながら綴ります。

タマス質、迷い、大きな迷い、暗闇、真っ暗闇の数

サーンキヤ・カーリカー 第48節・その注釈で述べられていること

タマス質は8種類です。迷いも同様(8種類)です。大きな迷いは10種類です。
暗闇は18種類で、盲目の暗闇も同様(18種類)です。

 

<「サーンキャ・カーリカー」内でのこの節>
タマス質を細分化して説明しています。あべこべの認識(viparyaya)の原因となるものが主にタマス質であるため、この位置にあるものと思われます。
前後の節で達成(siddhi)について言及していくため、この位置がよいのでしょう。インド思想では、達成の誤認(自在力を得ること=解脱)や、信じたいことを妨げられると怒ることは暗闇の性質(知恵が蔽われている=闇)であるという考え方をします。

 

<日本語化の意図メモ>
タマス質はこれまで「翳質(えいしつ)」や「翳暗(えいあん)」という語があてられるものが多く、それは「翳」には覆い隠すという意味があり 、インド思想の基本的な考え方に即しているためです。トリグナの性質はそのままカタカナで記載しています。
日本語でも日常的に意識のことを「見えてる」とか「見えてない」とか「盲目的」などといったりするので、ここは感覚的に理解できるかと思います。

 

<用語メモ>

種類、種目、種(bheda,vidho)
タマス質(tamaso)
8(asta)
8種類(astavidho)
迷い、迷妄(moha)
10(dasa,dasha)
10種類(dashavidho)
大きい(maha)
大きな迷い、大迷妄(mahamoha)
暗闇(tamisro,tamisrah)
18種類(astadasa,astadasha)
そのようになる、同様にある(tatha bhavaty)
盲目の(andha)

 

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