まろやかインド哲学

専門性よりも親しみやすさを優先し、インド思想をまろやかな日本語で分解演習します。座学クラスの演習共有のほか、インド六派哲学のサーンキヤとヨーガの教典についてコメントしながら綴ります。

リンガは常に存在し、輪廻する

サーンキヤ・カーリカー 第40節・その注釈で述べられていること

リンガ(微細な身体)は(世界が)存在する前からあり、固執することなく、常に存在しています。
大きなものから微細なものまでを範囲としたものから構成され、経験を持つことがなく、さまさまな状態を帯び、輪廻します。

 

<「サーンキャ・カーリカー」内でのこの節>
精神を微細な身体とし、それが輪廻の主体であると説明しています。
状態による定められかたは、第42節以降で説明されます。

 

<日本語化の意図メモ>
「リンガ」は「しるし」という意味でよく使われますが(第5節、第10節、第20節にも説明あり)、ものごとを抽象化し、さらに象徴化するというのは、インド思想全般に共通する「インドっぽさ」ともいえるものです。インド的思考というよりもインド的芸風という感じです。
「経験を持つことがなく」の箇所は、第37節からの流れで(←たぶん)「享受することなく」という訳が複数の学者さんたちの間で共通していますが、いまの感覚ではすこしわかりにくいので、サンスクリット語の構成にあわせて日本語化しました。
nirupa に相当する英語には shapeless,air,wind,ether などがあり、god,heaven もあります。


<用語メモ>
リンガ、微細な身体(linga)
過去の、以前の+おちた、過ぎ去った(purva+panna)
存在する前からある、~は創造のはじまりのときに創られた(puruvotpanna)
固執しない、限定しない、執着しない(asaktam、a+saktam)
常に存在、定常的に、コンスタントに、永遠に(niyata)
大きなものから微細なものまでを範囲としたものから構成される(maha+dadi+suksma+paryantam)
全体で、ひとつのものからほかのものへ、すべていっしょに、(paryantam)
輪廻する(samsarati)
存在を欠いている、目に見えるものを所有しない、目に見えないものを所有する(ni+rupa+bhogam)
心の状態、精神の状態(bhava)
定められる、~の状態を帯びる(adhivasitam)

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