まろやかインド哲学

専門性よりも親しみやすさを優先し、インド思想(インドの視点)をまろやかな日本語で分解演習します。座学クラスの演習共有のほか、サーンキヤとヨーガの教典についてコメントしながら綴ります。

インド授業の小話

いま全部わからなくても、personal journey のなかでわかってくる

インドでの授業のメモからの書き起こしです。 わたしはこの頃500時間のトレーニングを受けており、前半は200時間のトレーニングのメンバーと一緒でした。 今日の書き起こしは、その人たちがコースを修了していく頃の授業にあった内容です。「いま全部わから…

やり残し(backlog)や集合的無意識とどう向き合うか

2020年に受けたオンライン講座の内容からの掘り下げです。このシリーズは毎週1回の開催で、合計6回の講座でした。シャルマ先生と話すのは1年ぶりでしたが、毎回のように現代の心理学者や僧侶の名前が出てきたため、2020年と2021年はこの講座のノートを追いか…

動物には動物のビヘイビアがある。人間にはそこに「神的」「悪魔的」がある

シャルマ先生のクラスの頻出用語のひとつ、behaviour があります。この単語は辞書で引くと、行動・動作・挙動・振舞い・素行などさまざまな日本語が出てくるけれど、今日のトピックの流れでは、マーケティング用語でよく使われる「ビヘイビア」がわたしには…

行動には背景があり、それは感情とは別のもの

数年ぶりに参加した授業は「ダルシャン」の意味のおさらいから始まりました。参加者は先生と初対面ではないリピーターの人ばかりだったようで、基本の確認から始まりました。「ダルシャン」というインドの言葉を日本語にするときは、英語で「Philosophy」を…

だれもあなたの部屋を片づけにきてはくれない

今日書くことも、久しぶりに受けたシャルマ先生の授業の初日のお話からです。先月に書いた「Howではじまる問いの中にいましょう」というお話のあとに、先生はわたしたちに以下のように言いました。 だれもあなたの部屋を片づけにきてはくれない。 スニルも、…

How ではじまる問いの中にいましょう。Why を先頭に置けば質問になるわけではありません

2020年の6月から、8年ぶりにシャルマ先生の授業をオンラインで受けています。 その内容のなかに、これを初日から言うところがすばらいと思うお話がありました。人生の問題について、「なぜ悪い…」というふうに、「なぜ」「なぜ」「なぜ」と問うていくとエン…

とぼけたふりをしながら、ちゃっかり選んでいるわたしたちのこと

2020年の6月現在、8年ぶりにシャルマ先生の授業をオンラインで受けています。インドの先生が話す英語を即座に理解できる人ならリアルタイムで爆笑できることも、わたしはあとで辞書を引きながら何時間もかけて自分のメモを訳していくことで、やっと理解しま…

身近な人の習慣を嫌うのは同一視によるもの

ヨーガ・スートラの第1章1節~4節の説明する授業の中で、心のはたらきについて、先生が日常の事例で話をしてくれました。心のはたらきの「はたらき」の部分はサンスクリットでは vrtti. シャルマ先生は英語で behaviour という言い方で話されていました。心…

偏ったり保守的なふるまいのモードから抜け出すこと

ヨーガ・スートラの第1章2節について、インドで受けた授業のノートから、先生のお話が今になってずっしりくる。そんな振り返りをかねての紹介です。ヨーガ・スートラの第1章2節はこの節です。 心の作用を止滅することが、ヨーガである。(参考) この「作用…

ヴァールミーキの「ラーマーヤナ」は責任について書いている

インドの人が英語で話すときに使う「responsibility」は、日本語でいう「責任」とは少し違うニュアンスです。ヨーガの授業でシャルマ先生がヴァールミーキの「ラーマーヤナ」は責任について書いているという話をしてくれたことがありました。そのとき先生が…

その日の朝、はじめに見たものが大切。手のひらに神を見るマントラ

アンキット先生のチャンティングのクラスで唱えたマントラに、格別に好きになったものがありました。朝のマントラ(Early Morning Mantra)として教えてもらった「Karagre Vasate Lakshmi~」ではじまるマントラです。 両手のひらを見つめながら、以下の神様…

インド三大神の覚えかた「G・O・D」

チャンティングのアンキット先生が、「グルル ブラフマ、 グルル ヴィシュヌ…」ではじまるマントラの説明中にちょっとしたTIPSを話してくれました。1192つくろう鎌倉幕府、のようなもの。ブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァの三大神の役割の覚えかたは「G・O・D…

食べている時間は、食道をふさいでいる時間

シャルマ先生が食事について、しょっちゅう食べるのはよくないという話をされていました。理由はとてもシンプルで 食べている瞬間=食道をふさいでいる という考えかたです。 ヨーガのクリヤで鼻や喉の浄化法を練習しながら座学の時間にこのような話があり、…

頭の中のサーチエンジンと消化作用

ヨーガはエクササイズやスポーツとはちがうね、というアジェンダでの授業のメモの中にとても気になっている一行があります。パフォーマンスを上げるためにヨガをすることもあるけれど、スポーツのひとつのカテゴリとしてのヨガとヨーガは別だよという説明の…

ヨーガな瞬間と、そうでない瞬間。三つの観点

インドで受けた哲学の授業時間は、先生がなんとなく話す「こういうことってありますよね。あなたはどう考えますか?」というよう投球から始まってディスカッションへと展開し「ではそろそろ今日の本題に入ろうかな」となったりして、あまり英語ができないわ…

舌を楽しませるために食べているのではない。生きるために食べている

これはかなりのインパクトで、今でもよく思い出す先生の言葉です。 舌を楽しませるために食べているのではない。生きるために食べている。 寮ではブランチと夕食の時間がありましたが、夕食中は無言。おしゃべりは禁止でした。 日本で日常に戻って数年が過ぎ…

マントラはバイブレーションで、捧げもの

授業の合間の雑談で、シャルマ先生がインド人にとってのマントラについて話してくれたことがありました。 マントラは詩そのものに意味があるというよりもバイブレーションで、捧げもの。シヴァが妻のパールヴァティに贈った、捧げものなんだとおっしゃってい…

リラクゼーションとレイジーとレジャー

インドで受けていた哲学のクラスでは、 自分ひとりで自分の言葉で答えを探す空白の時間がたくさんありました。 ヨガニードラはrelaxationであって、lazyではない.relaxation と lazy は、なにが違う? ヨガニードラはrelaxationであって、leisureではない.re…

ヨーガの目的は強いディフェンス・メカニズムをつくること

日本ではデトックスという言いかたが親しまれていますが、インドで受けたナチュラル・トリートメントという考えかたについての講義で毒出しについての話がありました。小さなことが毎日いろいろ起こるなかで、人はバランスをとっている。これは体に限ったこ…

面接のとき、右の鼻が通っていたら右足から踏み出す

月暦(ルナカレンダー)と左右の鼻の通りの優性について教わったときのこと。月が大きくなる15日のスイッチ後、左右の優勢が一時間ごとに変わるという説明のあとに、シャルマ先生が雑談でよくあるメソッドとして以下のことを紹介してくれました。「You can c…

「無執着」のよくあるまちがった理解

ヨーガの哲学に必ずといっていいほど、しつこいといっていいほど登場する「non-attachment」「detachment」については、「こうではない」というイメージを併せもつことが有効のようです。わたしは授業で「よくあるまちがった理解」について教わりました。 シ…

30%の人は7つの穴に問題を抱えているといわれる

朝のクリヤの練習でシャルマ先生が「30%の人は7つの穴に問題を抱えている」といわれる。だからこの修行があるという話をされたことがありました。7つの穴というのは、目×2、鼻×2、耳×2、口 の合計7つの穴のことです。このお話を聞いたのは以下の練習を経験…

5つのMと魚の話

5つのM(Panca Makara)の話そのものは、インド思想のヨーガに関わるトピックの中では、"誤解のもとのひとつ" として形で扱われているもの。これについて、シャルマ先生が少しだけ雑談で話してくれたことがありました。どんな話しかたをするのかな…と、気に…

5つのM(Panca Makara)の「Maithuna(性交)」

タントラ・ヨーガへの誤解を生むものとされている5つのM(Panca Makara)。この「Maithuna(性交)」についてはハタ・ヨーガ・プラディー・ピカー第3章83節のように理解のされかたとしては誤解を生みやすいものだという話になり、シャルマ先生がハタ・ヨーガ…

パタンジャリは三人いる

インドでインド哲学のクラスを受けていた頃、初日にシャルマ先生がパタンジャリは三人いるという話をしてくれました。これは弘法大師のようにあちこちに伝説があるという話だろうかと思っていたら、そうではありませんでした。ヨーガを学ぶとパタンジャリ=…

サイコロジカルのヨガ、サイコフィジカルのヨガ

シャルマ先生はまだ若いので(わたしより若い)、講義はいつも事例が現代的。モンキー・マインドの説明に「まだ手持ちのものが使えるのに、新しいiPhoneが欲しい人」が出てきたり、有名な聖者が世界でどんなふうに支持されているかにもアンテナが張られてい…

サドゥーとストレス

インドのリシケシという場所には、たくさんのサドゥーと呼ばれる人がいます。だいたいはオレンジ色の服を着て、アシュラム周辺やガンジス川の河川敷で生活をしています。はじめは「こんな生活をする人が実際にいるなんて」とインドのそれらしさに刺激を受け…

仏教とヨーガの共通点

シャルマ先生はいつも「違い」よりも「共通点」で語ること心がけているようで、仏教とヨーガの共通点についてもぽつりと話されたことがありました。 いずれも belief ではなく、way of life たった一行なのに、響きます。 この話は「宗教って、何ですか? 主…

さまざまな Law of nature

「ダルマ」が主題の講義のときに、シャルマ先生がさらっと雑談しながらリストした「自然法則」の例は、いかにもインド。 ガンガー(ガンジス川)には汚いものも流れてる。バラナシへ行ったら全てが合流して、もうぐちゃぐちゃだよね。それがダルマ。 わたし…

マインドレスのマシーン状態

カパーラ・バーティの説明でシャルマ先生が話していたことのメモに、こんなフレーズがありました。 mindlessの、マシーンのようなやりかたでは影響が少ない。 影響というのは、この呼吸法はカパーラがバーティする。頭蓋骨がピカーッと輝く。クリヤ。浄化。 …