まろやかインド哲学

専門性よりも親しみやすさを優先し、インド思想(インドの視点)をまろやかな日本語で分解演習します。座学クラスの演習共有のほか、サーンキヤとヨーガの教典についてコメントしながら綴ります。

外的器官は現在だけを、内的器官は過去・現在・未来を対象とする

サーンキヤ・カーリカー 第33節・その注釈で述べられていること

内的器官は3つあります。
外的器官は10個で、3つの内的器官の対象といわれます。
外的器官は「現在」を対象とし、内的器官は3つの時(過去・現在・未来)を対象とします。

 

<「サーンキャ・カーリカー」内でのこの節>
プルシャの目的のためにはたらく器官が、「いつ」を対象とするのかを説明しています。
はたらきの範囲を説明する節として、第30節とこの第33節は下記の横串で説明されており、特徴的な節です。

  • 第30節=見える対象、見えない対象に区切り、4器官(ブッディ・アハンカーラ・マナス・知覚行為器官)は見えないものも対象とすると説明する。
  • 第33節=対象とする瞬間を過去・現在・未来に区切り、内的器官は(ブッディ・アハンカーラ・マナス)は過去と未来も対象とすると説明する。

 

<日本語化の意図メモ>
3つの時(trikala)は、「3種の苦痛」や「3つのグナ」と同じように、おなじみの語としてさまざまな教典に出てきます。
インド思想には「過去と未来のことを考えている瞬間は、いまを殺している」というように、「いま・ここ」の経験を重んじる考え方があります。現在のみを対象とする外的器官=機能が少ないということを示しているわけではありません。端的に、カバーする時間の範囲を説明しています。


<用語メモ>

内的器官、内への媒介者(antakanana= anta + karana)
3(tri)
種類(vidham)
10(dasa,dasha)
外的器官、外的、外(bahyam, bahya)
対象(visaya)
呼ばれる、名づけられる(khya)
現在、今、(samprata)
時間(kala)
3つの時=過去・現在・未来(trikalam= tri + kala)
内的、内側の、内含される(abhyantara)

 

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